かつらがバレた



さて、Gさん、実は、かつらがバレたのは実は2回目だ。

1回目はかつらを装着して間もない頃である。

街を歩いていたGさんは、昔の友人とばったり会ってしまったのだ。

彼とは数年ぶりの再会だった。

「久しぶり!」
だが、Gさんは嫌な予感がした。
予感はすぐに的中することになる。

「やけにフサフサしてるじゃないか。かつらにしたのか。」
続いて友人の口からは、あまりにストレートな言葉が飛び出した。
Gさんの動悸が高鳴った。
なんと答えよう。徹底的にしらばっくれるか、それとも、かつらだと認めて明るく笑い飛ばすか...。
「よく出来ているじゃないか」
「そ、それは...」
もうごまかしきれるとはとても思えなかった。
あきらめたGさんは、とにかく明るく振る舞った。
「そうだろ〜。結構高かったんだぜ。」
自分から話題を変えるのは、バレたのが堪えているみたいで嫌だったから、かつらの話題をしばらく続けた。 Gさんにとって、つらい時間だった。
ようやく話題が変わった後、10分ほどして相手と別れた。

ふと気付くと、Gさんは汗びっしょりだった。
初めて体験する、かつらばれの瞬間。

もう二度と味わいたくないと思った。